2017年6月14日未明に、英ロンドン西部の27階建て高層住宅で、火災が発生したことを覚えていますでしょうか。

ロンドン警視庁は6月17日、今回の高層住宅火災での、死亡が確認された、または推定される人の数は58人にも上ると発表され、最終的には79人を超えました。

一見近代的なマンションが、まるで木材建築かのように、煙をあげて燃えている姿に、衝撃を受けた方も多いと思います。

マンションには200人以上の人が住んでいて、逃げ遅れたり、マンションから飛び降りた人が複数いたということですが、一体、このような高層住宅で火災が起きたら、どうすればいいのでしょうか。

大都市のあちこちに見られる高層住宅。いざという時のためにも、ぜひ知っておきたいものですね。

高層住宅での火災、逃げ遅れてしまう理由

    災害発生時には、よく「パニック」が話題になります。しかし、人はパニックよりも「逃げ遅れ」で命を失います。逃げ遅れるのには、いくつかの理由があります。

  • 夜中の火災のために、就寝中で逃げ遅れる。
  • 何十階も下の火災では気づかないで、逃げ遅れてしまう。
  • 災害心理学の研究によると、何かが起きたと気づいても、それが非常事態と判断できない時に、人は逃げるための「心理的コスト」を考えるのです。夜中に事態が発生し、さらに、何十階も降りて外に出るのは、心理的コストが高くなる、と判断して、逃げ遅れることがあるでしょう。
  • 火災報知器が適切に設置されていなかった。または、鳴っても「誤作動だろう」などと考えてしまう。
  • 高齢者の場合、煙や臭いに気づくのが遅れる。さらに、気づいたとしても、迅速に対応できず、逃げ遅れてしまうことがあります。

高層住宅での火災、人はなぜ飛び降りるのか

高層階から飛び降りれば、ほぼ確実に命は助からないでしょう。

でもなぜ人は飛び降りるのでしょうか。

その理由の一つは、ビル火災において、後ろから火と煙が迫ってくる状況で窓から外を見ると、「地面が近くに見えた」と語る人々がいます。

飛び降りても大丈夫な気がしてくるのだそうです。

普段なら高層階の窓から、飛び降りるというのは、とても恐ろしい光景です。

しかし、他の人が飛び降りているのを見ると、自分も同じように、飛び降りようと感じる、それが追い詰められた人の心理なのです。

唯一の解決策だと感じてしまった結果、といえるかもしれません。

高層住宅で火災、一人ひとりの行動が大切?

大きな火災被害を防ぐために大切なことは、防火設備を整えることが最優先です。

しかし、大きな災害が起きてしまえば、個人の努力では、どうにもならない災害被害もあります。

そして、一人ひとりの行動によって、命が左右されることがあるのです。

1982年(昭和57年)2月8日に、東京都千代田区永田町の、ホテルニュージャパンで起こった火災事故では、最後まで希望と冷静さを失わなかった人がいました。

ある人は、後ろから人煙が迫ってくるという、緊急事態の中、ドアから逃げられないと知り、シーツを破って結び合わせてロープ状にし、まだ火が回っていない下の方の階に逃げました

このとき、自分だけでは逃げられなかったので、直下の階の2人に手助けを求めています。

迅速な判断と行動の結果、この3人とも命が助かりました。

高層住宅で火災が起きたらどうすればいい?

災害心理学の研究で発表された、生き残るための方法を見てみましょう。

  • リーダーの存在

リーダーの存在が、みんなの気持ちを落ち着かせ、適切な指示を出すことで、救われる可能性が高くなります。

  • 発想を転換する

もう死んでしまう、という恐怖に心が支配されずに、別の発想が持てると、助かる可能性が高まるそうです。緊急事態でみんながパニックになる中、ある高齢者の「おちつけ!」の一言に、みんなが冷静になれて助かった、という事例もあるのです。

  • 弱者のことを考える

人は、自分だけが助かろうとすると、パニックになりやすくなるといいます。「誰かを助けよう」という気持ちが、冷静さや勇気を人に持たせるのです。「みんなで助かろう」という思いが希望を生み、適切な避難行動を生む、という研究結果が出ています。

いかがでしたでしょうか。いざ、という時のために、ぜひ覚えておきたい心構えですね。このような悲惨がな事故が2度と起こりませんように。